政教分離めぐる闘いを支える信仰
−−谷内榮さん(砂川政教分離訴訟原告代表)
「神社へ無償で市有地 違憲」「最高裁 政教分離に違反」――。1月22日、新聞各紙が報じた「砂川政教分離訴訟」の最高裁判断。その訴訟の原点には、一人のキリスト者の素朴な疑問と歴史の過ちは繰り返したくないという強い決意があった。13年程前、北海道砂川市在住の谷内榮さん(79)=日本キリスト教会滝川教会員=は市有地に建つ神社で神事が行われていることは憲法違反ではないかと疑問を抱き、同じく砂川市民で平和遺族会の仲間、高橋政義さんと共に市長に住民監査請求した。それは長い闘いの幕開けだった。
17歳で洗礼を受け、22歳で高等学校に入学。結核を患い、苦しい闘病生活を送るなど曲折はあったが、中学校教員試験に合格し、定年まで中学校の教師を務めた。「明治以来の教育政策の誤りが、軍国主義少年を生んでしまったと思う。過ちを繰り返さないためにも、教育は重要だと思い、教師になりました」。教諭時代、地元の神社神事のために休校になった。「そんなおかしな話はないと、抗議しました。他の教師は休みたいから『反対するな』と言いましたが、休みと引き替えに思想、信条を売り渡すことはできない。私一人が反対でも意見は曲げませんでした」。その思いは、事務局長を務める平和遺族会全国連絡会の活動や今回の裁判にも通じる。
「この裁判は、戦時中に国に従ってしまった日本の信徒、教会がその過ちを二度と犯さないために闘うキリスト者の闘いでもあると思っています」。その信念や力はどこから来るのか。「礼拝や祈祷会は私の信仰生活で極めて重要で、欠かさず出席します。これまでの人生、牧師の説教から歩むべき道を教えられてきました。この裁判でもそうです。イエス様がいつも私の前にいてくださる。主の闘いです」
最高裁は、空知太神社が市有地にあり、神事を行うことは違憲としつつ、それを解消する手段があるとして、札幌高裁に差し戻した。「はっきりと違憲判決を出して市長の控訴を棄却せず、違憲状態を代替的に解消する手段を最高裁が示すことに大きな怒りを感じます」。闘いは大詰めを迎え、続いていく。
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