
| 週刊 『クリスチャン新聞』 2008年7月6日号 =7面=掲載 | |
| 『モラル教育の再構築を目指して』 青山学院大学総合研究所キリスト教文化研究部編(教文館、1,680円税込)
本書は青山学院大学総合研究所キリスト教文化研究部が2004年から2007年に行った研究プロジェクト「青年期におけるモラル教育の危機と可能性―キリスト教モラル教育の構築へ」の研究成果報告である。序文の「人間形成におけるモラル教育の重要性は、家庭、学校、共同社会など、人間が成長を遂げるあらゆる場で把握されるべきであるが、今日は親のモラル、教師のモラル、企業のモラル、政治モラルの脆弱さが指摘され、モラル教育の主体が見出せない状況が起こっている」という危機感が根底にある。全体は3部に分かれ、第1部は「モラルの再生へ」と題する関根清三の講演。殺人を否定する根拠として聖書的には「創造論的な答え」とさらには「救済論的な答え」としての「目に見えない愛の磁力」を説く。第2部は「現状と課題」で「キリスト教学校教育における『いのちの教育』の可能性」(小池茂子)、「キリスト教教育プログラムとしてのサービス・ラーニング」(伊藤悟)、「ルドルフ・シュタイナーの道徳教育論(今井重孝)、「韓国における中・高等学校道徳科教育の性格と内容」(安抖善)。伊藤はサービス・ラーニングを「奉仕活動やボランテイア活動のもつ社会的役割や教育力を活用して、学生が大学で学んだ成果を地域社会の諸問題の解決のために役立て、そのことを通して大学で学ぶことの意味を再確認し、学問の検証と社会還元との相互的実践型教育のかたちである」と説明している。 第3部は「史的・体系的考察」で「古代ギリシャにおける徳育のアポリア」(三島輝夫)、「宗教的青年組織における道徳的人間形成」(大森秀子)、「物語の神学と礼拝における人間形成」(東方敬信)、「宗教・道徳の教育と神学的省察」(朴憲郁)、「宗教的市民性教育による異なるものとの再生」(ロバート・ジャクソン)が収められている。 キリスト教の立場からモラル教育を考える際には、ぜひ、目を通して欲しい良書である。 (評・稲垣久和=東京基督教大学教授) |
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