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【 クリスチャン新聞掲載号 : 2012-11-04 】
岩手沿岸に拠点が立つ--キリスト教の影響が少ない地域に神の愛を

 岩手県沿岸に教会は少ない。一方盛岡市など内陸部から沿岸は約2時間かかる。東日本大震災後の支援で沿岸の拠点と長期スタッフが求められた。超教派支援組織「3・11いわて教会ネットワーク」(近藤愛よ し哉や代表)は昨年から県内各地に支援拠点を形成。沿岸の3拠点を訪ね支援の実際と課題を聞いた。【高橋良知】 関係「この1、2年が大事」
 山田/交流の場所
 OMF岩手支援プロジェクトは山田町での拠点「いっぽいっぽ・山田」(川向町5ノ3)を今年6月にオープンした。海までは数百メートル。周辺は津波の被害が大きい。OMFスタッフとしてマイケル&ロウィーナ・マギンティ宣教師夫妻、本間英隆・早苗夫妻、モーケン・ラウ宣教師、藤田生いきるさんが奉仕する。
 プレハブより簡易なスーパーハウスだが、外には木製のテラスがあり、内装も木目と淡い緑を基調にした和やかな雰囲気だ。飲み物は一部無料で、ほかは100円程度で買える。
 ロウィーナさんは「教会らしさを感じさせない、入りやすい場所にしたいと思いました」と話す。マギンティ夫妻は山田町の仮設住宅を訪問するうちに、町の多くのものが津波で流され、人々が行く場所がないという課題を知った。土地を貸してもよいという人と出会い、「交流の場として、ほっとする、話を聞いてもらえる、親しみを感じる」拠点ができた。津波被害があった場所なので居住は不可だが、2階はボランティアの休憩所だ。「三陸はキリスト教の影響が少ない地域だが、ここで少しずつ神の愛を感じるように、キリストの香りを放ってやさしく歓迎したいです」
 開店は10時?17時。地域に同様の場所がないこともあり、常連の人も、初めての人も、おしゃべりに来たり、打ち合わせをしたり、子どもたちが遊びに来るなど自由に使われている。聖書や英語に興味を持つ人もいて、10月からは毎週木曜日午前に聖書を読む会、金曜日夜に英語カフェを始めた。料理教室も開く予定。
 仮設住宅の集会所では人々が出会う場としてカフェを開き続けている。昨年同様、クリスマスには保育園や仮設住宅などでクリスマスの催しをする予定だ。
 釜石/放課後を支援
 釜石市では空き家を改装し宿泊が可能なOMF岩手支援プロジェクトの拠点「いっぽいっぽ釜石・大槌」(野田町5ノ3ノ6)が8月にできた。東日本大震災救援キリスト者連絡会(DRCnet)事務局長を今も兼務する高橋和義さんと妻の芳江さんが常駐する。
 和義さんは今年5月から仮設住宅や役所を訪ねてニーズを聞いた。隣接する大槌町の仮設住宅で避難による勉強の遅れを心配する親たちから、子どもたちの放課後学習支援を求める声があった。大槌町からボランティアのコーディネートを委託されているジャパンクリエイトから、9つの仮設住宅を紹介され、8つを9月中に回った。
 和義さんは支援について「近くにいる人が近くの被災者を助けるしくみをつくれれば」と願う。地域に民謡の実力者がいる。人々も踊りや歌を日常的にする文化があったが、津波で共有する場を失った。「外から支援を持ってくるのもいいが、支援の受け疲れもあると聞く。内側で慰め、励ませる人たちの場ができるといい。最終的に残れるのは近所の人だが、近所の人と遠くの人が協力できればいい」と話す。実際近隣のクリスチャンから協力者も出ている。
 「これからこそ、クリスチャンに来てほしい」と言う。被災者どうしでは被災の同じ話はしにくくなっている。だが繰り返し話すことで悲しみは癒される。その被災者の話を初めて聞くという人が大事だ。「被災地は初めて、被災者の話を聞くのは初めて、という人がむしろいい」と求める。
 大船渡/大工で関わる
 大船渡市におけるボランティアの宿泊所、地域の人々との交流の場所としての拠点「大船渡グレース・ハウス」(盛町内ノ目7ノ4)は3・11いわて教会ネットワークにより8月に完成した。仮設住宅では住民どうしで深い個人的な状態を話しづらいという現状があり、拠点は地域の人々が助けを求めたり、遊びに来たり、さみしいときに来られる場として期待される。
 拠点は津波により約80センチの床上浸水をした家屋。家主はここに住めないということで廉価で貸してくれた。床や壁など修復には国内外から長期、短期30人以上が携わり、約3か月かかった。米国から支援に来たスタッフのフレッド&千加子・ウィットワー夫妻が住む。ほかにスタッフはマイカ・ジェントさん、大塩梨奈さんがいる。
 現在活動は主に大工班、イベント班に分かれる。大工班ではマイカさんが仮設住宅で棚や椅子など日用品を作りながら人々と関わる。実際多くの仮設住宅から要望があり、人手が足りないくらいだ。マイカさんは「作業をできないとしても会話することが大事。冬は支援が減る。幅広く、実のある支援をしたい」と語る。要望もあり小学校が早く終わる木曜日に子ども英会話をしたり、土曜日には子どもたちと遊んだりするなど活動内容が広がった。イベント班ではこれらの関係をより深める。千加子さんは「2年後には町に公団住宅が建つ。この1、2年の関係づくりが重要」と考える。
 海外や遠方から訪れる支援者の「やりたい」と、地元のニーズの調節が大切だ。一方、遠くから来たということが喜ばれ交流が進む面もある。「支援が届きづらい『みなし仮設』では物資の需8要があるが、仮設住宅では心のこもった物が、喜ばれ交流になる。信頼関係ができているので、小物に書かれた聖句から福音の話になるということもあります」と言う。
  ◇   ◇
 このほか岩泉町、宮古市、盛岡市、北上市に拠点を設け、10月に救援組織クラッシュジャパンの一関市ベースを引き継いだ。各拠点の現地長期スタッフは20人。全体としてのコアスタッフが5人いる。さらに各地からの協力者を得て活動する。
 沿岸のスタッフのうち約半数は日曜日に盛岡市の教会で礼拝した後、報告会や祈祷会を開く。 またほかの半数は現地の教会で礼拝し、現地のスタッフどうしの祈祷会などを開く。3・11いわて教会ネットワーク代表の近藤愛哉さんは「スタッフの霊肉が共に支えられ、被災各地域に良い知らせを届けられるように」と願う。支援が減る冬の東北のためにも祈りが求められる。URL http://311.ichurch.jp/

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